WordPressテーマ「Foresight」が wordpress.org 公式ディレクトリに掲載されました。
WordPressテーマ「Foresight」は、公式ディレクトリ登録を目指していたので、テーマ開発に取り組んで目標の一つを達成できて一段落つきました。これからもテーマの改良を続けてブロックエディタの活用を充実させたり、いろいろ研究開発を行っていきたいですね。
ということで、公式ディレクトリ登録を行う上で欠かせないテーマレビューはどのようなものか。2ヶ月ほどやり取りしていたレビューの所感を綴ってみたと思います。
WordPressテーマ「Foresight」の詳細や作ったときの感想は、以下を見てください。
- WordPressテーマ「Foresight」プロダクトページ
wordpress.org 公式ディレクトリのテーマページ - ブロックエディタにフル対応したWordPressテーマを作ってみた所感
- WordPressテーマ「Foresight」GitHubレポジトリ
テーマレビュー経緯
テーマの登録申請を2019年11月25日にしました。
その時のテーマレビュー待ち200余り。
とりあえず気ままに待つことに。
待つこと3ヶ月ほど。
2020年2月13日にレビューアさんが付いてくれました。
途中新型コロナウイルスの大流行で滞りなくレビューが進むのが心配していましたが、普通にレビューが進んでいきました。こういうときにコミュニティが機能しているありがたさが実感できますね。
最初のレビューは、作ったWordPressテーマが、Theme Check や Theme Handbook のガイドラインに準拠しているかを主に診てくれます。
そして、修正をしながら進めていくとさらにソースコートを隅々まで詳細にレビュー (complete review) してくれます。
指摘されて改善したところ (パート1)
- ディレクトリ構成が少し特殊な形なので、構成やファイル名を見直した。
- JavaScript ファイルは minified しか入れていなかったので、レビューできるように生のソースも追加で入れた。最初 webpack でバンドルしていたけど、出力される生のソースも特殊な出力なのでレビューできるかどうか分からなかった。ということで普通の結合 (concat) に変えた。
- オプションのデータの持たせ方を変えた。取り回しが効きやすいようにいつも複数の options に分けて入れているけど、公式テーマだと theme_mod (一つの配列) に入れるようにすることが大切。参考: Customizer Objects#Settings
- タブキーでのフォーカス移動などキーボード操作できるようアクセスビリティをしっかり診てくれた。特にドロップダウンメニューが展開するグローバルメニューの部分。普段キーボード操作をあまり意識していなかったのでこういうところも大切だなぁと改めて気づいた。
- テンプレート階層を少し触っているのでそのことを聞かれた。理由を説明するとすんなり受け入れてくれた。そんなに厳格さはなく、柔軟に対応してくれるようだ。
やり取りと修正を2回ほど繰り返し、ひとまず承認された。
次にダブルチェック的な最終テーマレビューへ進む。
少しベテランな感じ?のレビューワーさんが付いてくれました。
更に細かい部分まで診てくれる。特にセキュリティ面でエスケープやサニタイジングのところ。
指摘されて改善したところ (パート2)
- エスケープやサニタイジングを結構見落としているところがあった。のでチェックしてくれるの助かる。
- コピーライトやクレジットの表記の見直し
- readme.txt ドキュメントの見直し
- ライセンス上使っていい CDN や画像などサードパーティリソースの見直し。スクリーンショットを変えた。
- 標準コアにあるカスタマイザの機能を一部削除していたのでその調整をした。
- javascript のグローバル変数の扱い。プリフィックスをつけるか、または即時関数にしてローカルオブジェクトにする。
- デザイン的にボタンやメニューを画面に fixed すると。ログイン状態でページを見る場合、adminバー (ツールバー) に重なるところがある。位置をずらして重なりを回避するの厄介だった。バーの高さは通常PCで32pxでタブレットやスマホビューで46pxに変わる。adminバーはスクロールしても上部に固定されているが、スマホビューでは挙動が変わり、固定がなくなる。その高さと挙動に合わせて fixed している position を CSSやjavascriptで調整。
やり取りを繰り返し、2020年4月26日にレビューが終了した。
即日 wordpress.org にあるテーマページが公開されて、7,472点あるディレクトリ掲載テーマ (2020年4月28日現在) の一員に加わりました。
晴れて Theme Developer になりましたとさ。
WordPressテーマを公式ディレクトリ登録してみてよかったこと、感じたこと
- WordPressエコシステムの土台に乗って世界中で幅広い人に使われるように、レビュー済みで一定の品質基準を確保した WordPressテーマができた。
- いままでテーマの公式ディレクトリにはあまり縁がなかったけど。独自機能を実装したテーマと公式ディレクトリに掲載される準拠さをもったテーマとの技術的な比較基準をもつことができた。
- 公式ディレクトリに登録されているテーマの完成度が上がっている。これからも上がっていく感。よく言及されるスクリーンショット映え感ではなく技術実装面で。以前はブログ用途とかスキン的な感じのテーマが多かったりソースコードを見るとグチャグチャな感じも見受けられたけど。ブロックエディタとの兼ね合いなのか技術的にそれなりのレベル、また幅広くトータルなレベルが求められている感じがする。今後テーマを一人で作り切るのはスキル的に求められるものが多くなりそうで大変そう。チームでテーマを開発するとかに進むのかなぁ。
- 機能面の充実より、用途の提案とか、コンセプト面の充実がテーマに求められそう。そのほうが活用の広がりが生まれる。
- 今回テーマを作ったり、WordPressテーマスタータキット「WP Theme Boilerplate」を開発したりしてきて。WordPressテーマの開発は、スクラッチから作ったり、フレームワークから作ったり。公式テーマや無料有料テーマのありあわせものでサクッと立ち上げたり、カスタマイズしたり。多様なアプローチが取れるようになってきていると思う。その都度ふさわしいやり方を選んでプロジェクトが進められそう。プロジェクトマネジメント面の発展とかにつながる。
可能性が広がっているなぁと感じる今日このごろです。